研究課題
HER2抗原発現腫瘍に対するGM-CSFをアジュバントとする疎水化多糖類・HER2蛋白複合体(CHP-HER2)による癌ワクチン臨床第I相試験を施行し、ワクチン投与患者6例のうち、卵巣癌患者1例においてCHP-HER2ワクチン後に、免疫されたHER2抗原のみならず、別の癌抗原であるMAGE-A4に対するCD8^+T細胞またはCD4^+T細胞が検出された。この患者検体を引き続き免疫モニタリングしたところ、約1年間の長期間にわたり免疫応答拡大現象が検出されつづけ、この間臨床上も腫瘍の進行は認めなかった。また、本試験患者の液性免疫応答については、過去のワクチン単独投与患者と比較し、より早期に液性免疫応答が検出されることを報告した。(Cancer Science. 99(3) : 601-607, 2008)HER2抗原またはNY-ESO-1発現腫瘍に対するOK432をアジュバントとする2種混合ワクチン(CHP-HER2、CHP-NY-ESO-1)によるがんワクチン臨床試験(第I相試験)を施行し、ワクチン投与された食道癌患者8名における免疫応答を解析し、混合め安全性と両抗原の主に液性免疫応答について免疫応答の出現時期、強度、抗体の認識epitopeについて報告した。(99th AACR Annual Meeting)(第67回日本癌学会総会)(論文投稿準備中)他に、実施計画している難治性MAGE-A4陽性食道癌に対するT細胞受容体遺伝子導入T細胞による細胞療法による臨床試験(第I相試験)に向け、MAGE-A4特異的T細胞受容体遺伝子導入ヒトT細胞が長期間にわたり、導入遺伝子の発現、機能ともに安定していることを報告した。(Gene Therapy. 15 : 695-699, 2008)引き続き、各種癌免疫療法施行患者における免疫応答拡大の解析を行い、臨床経過との関連について観察していく予定である。
すべて 2008
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Cancer Science 99(3)
ページ: 601-607
Gene Therapy 15
ページ: 695-699
Cancer Genetics and Cytogenetics 184(1)
ページ: 57-61