研究課題
HER2抗原発現腫瘍に対するGM-CSFをアジュバントとする疎水化多糖類・HER2蛋白複合体(CHP-HER2)による癌ワクチン臨床第I相試験を施行し、ワクチン投与後に、免疫されたHER2抗原のみならず、別の癌抗原であるMAGE-A4に対するCD8^+T細胞またはCD4^+T細胞が検出され、免疫応答拡大現象が検出される現象を認め、1年以上の長期間にわたり臨床上の進行を認めなかった例もあった。今春、同試験の患者の全登録が終了し、現在免疫応答の解析中である。(論文投稿準備中)また、乳がんに対するtras tuzumab療法施行患者においても同様の免疫応答拡大の検出のモニタリングを施行し、一部の患者で抗体の標的とされたHER2抗原内の他のエピトープに対する応答が活性化される「epitope spreading」現象を認めた。HER2抗原またはNY-ESO-1発現腫瘍に対するOK432をアジュバントとする2種混合ワクチン(CHP-HER2、CHP-NY-ESO-1)によるがんワクチン臨床試験(第I相試験)を施行し、ワクチン投与された食道癌患者8名における免疫応答を解析し、混合の安全性と両抗原の主に液性免疫応答について報告した。(Vaccine. (in press))腫瘍抗原特異的T細胞受容体遺伝子導入γδT細胞について、導入遺伝子の発現、機能(γδT細胞、CD8T細胞の両方の機能を併せ持つ)、抗腫瘍効果を報告した。(Gene Therapy. 16: 620-628, 2009.)今後も、各種癌免疫療法施行患者における免疫応答拡大の解析を行い、臨床経過とともに、免疫応答の拡大を生じる条件について詳細な解析を進めていきたい。
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Vaccine (In press)
Clinical and Applied Thrombosis/Hemostasis (In press)
Gene Therapy. 16
ページ: 620-628