• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2009 年度 実績報告書

ルミカンによるケラチノサイト増殖因子シグナル伝達経路の制御機構の開発と治療応用

研究課題

研究課題/領域番号 20790974
研究機関日本医科大学

研究代表者

山本 哲志  日本医科大学, 医学部, 助教 (20453920)

キーワード膵臓癌 / ケラチノサイト増殖因子 / プロテオグリカン / ERKシグナル
研究概要

ケラチノサイト増殖因子(KGF)の膵臓癌における機能を検討するため、培養膵臓癌細胞の一つであるMIAPaCa-2細胞を用いて実験を行った。リコンビナントKGFを投与した所、濃度依存的に細胞増殖が誘導されることを明らかにした。次に、細胞内シグナル伝達経路を解析したところ、ERKとp38のリン酸化がリコンビナントKGF投与により濃度依存的に亢進しており、これらの経路を活性化することによってKGFは膵臓癌細胞の増殖や、以前に報告されているVEGF-Aの産生を誘導することが示唆された。
次に、膵臓癌におけるルミカンの役割を検討するため、培養膵臓癌細胞の一つであるPanc-1細胞を用いて実験を行った。Panc-1細胞にルミカンを遺伝子導入した安定過剰発現株を作成した所、分子量70kDaの特異的なルミカンのみを過剰に分泌しており、その結果ルミカン過剰発現細胞は細胞増殖能がin vitroとin vivo共に亢進していることが明らかになった。また、siRNAを用いてPanc-1細胞のルミカンの発現を抑制することで、細胞増殖が抑制されることも分かった。これらのことから、特異的な分泌型ルミカンが過剰に発現することで、膵臓癌細胞の増殖が誘導されることが推測された。そこでこの分泌型ルミカンにより制御されるシグナル伝達経路を検討したところ、細胞増殖を制御しているERKのリン酸化がルミカンの発現により制御されることが明らかとなった。
プロテオグリカンはKGFのような線維芽細胞増殖因子と受容体の結合を安定化させることが報告されている。今回、ルミカンの過剰発現によりERKが活性化され細胞増殖が誘導されたことから、その機構としてKGFとKGFRとの結合を安定化させた可能性が考えられた。このことから、ルミカンの発現抑制による増殖因子受容体の活性化抑制という新しい機構での膵臓癌治療薬開発の可能性が考えられた。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2010 2009

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Enhanced expression of lumican inhibited the attachment and growth of human embryonic kidney 293 cells.2010

    • 著者名/発表者名
      Ishiwata T, et.al.
    • 雑誌名

      Experimental and Molecular Pathology 88(3)

      ページ: 363-70

    • 査読あり
  • [学会発表] Signal transduction pathway analysis to induce cell growth and vascular endothelial growth factor-A release by keratinocyte growth factor in pancreatic cancer cells2010

    • 著者名/発表者名
      山本哲志
    • 学会等名
      第40回米国膵臓学会総会
    • 発表場所
      米国、ハワイ
    • 年月日
      2010-11-05
  • [学会発表] Enhanced expression of lumican correlated with pancreatic cancer cell growth2010

    • 著者名/発表者名
      山本哲志
    • 学会等名
      第68回日本癌学会総会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      2010-10-02
  • [学会発表] Lumican, a small leucine-rich proteoglycan family member has a potential to develop new medicine for the pancreatic cancer patients2009

    • 著者名/発表者名
      山本哲志
    • 学会等名
      米国消化器病週間2009
    • 発表場所
      米国、シカゴ
    • 年月日
      2009-06-01

URL: 

公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi