【目的】兎冠動脈虚血再潅流モデルを用い、G-CSF投与および大網充填術が、心筋梗塞後の血流再開において虚血心筋のviabilityを改善させるか否かを検討した。 【方法】兎冠動脈虚血再潅流モデル : 前下行枝を30分間遮断しその後再開させた。G-CSF投与 : 術後10ug/kg/day 5日間皮下投与した。大網充填術 : 心筋虚血領域を擦過後有茎で固定した。C群 : 対象群、O群 : 大網充填術のみ、G群 : G-CSF単独投与、OG群 : 両者併用とした。心機能評価 : 術前、術後4週間の左室拡張期系(LVDd)、左室駆出率(EF)測定した。病理学的検討 : Evans Blue冠動脈注入、Triphenyltetrazolium chrolide浸漬処理により梗塞、虚血領域の重量比およびMasson Trichrome染色にて心筋全体の梗塞面積比を検討した。 【結果】心エコー上N、O、G群に比較してOG群で心機能が有意に改善した。一方、梗塞領域虚血領域比はG-CSFの投与が梗塞領域を減少させた。また胸腔内大網重量はOGで有意に増加していた。 【まとめ】ウサギ冠虚血再灌流モデルにおいて、充填した大網がG-CSF皮下投与で発育し虚血部位の血流を改善する事で、梗塞領域を縮小させ冠虚血再灌流後の心機能低下を改善する可能性が示唆された。 【今後の課題及び来年度研究計画】心筋におけるアポトーシス抑制効果の評価、大網内VEGF定量や大網心筋間血流の有無の評価など、上記現症を来たし得たメカニズム解明の為の実験を行う予定である。
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