研究概要 |
2008年度は、Angiopoietin-1(Ang-1)のより強力な変異蛋白であるCOMP-Ang1を肺胞上皮特異的に発現するトランスジェニックマウスの解析をすすめた。血管形態の異常を示すためCD31, αSMAの免疫染色を行うと同時に、CTによる3D angiographyを行って血管構造の乱れを明らかとした。この遺伝子改変マウスでは血管内皮細胞の接合は促進されて血管径は太くなっている一方で、必ずしも血管周細胞そのものは発達しているといえないことがわかった。ついで正常マウスの肺胞領域でのAng-1発現がどのようになっているかが明らかでなかったので、Ang-1発現をin situ hybridizationで解析した。Ang-1は肺胞領域全域でごく弱い発現が見られるが、ことに2型肺胞上皮細胞でのメッセージ濃染が見られた。これまでのデータを総括して、現在論文を投稿中であるが、追加実験を指示されていて、現在出生直後から2週までの肺について詳細な解析を継続している。加えて、出生後の肺胞形成期など、肺胞上皮幹細胞の細胞周期が回転している状態での遺伝子発現プロファイル解析を試みているが、出生直後には既報のような方法では肺胞上皮幹細胞が十分な数回収することができず、難渋している。2008年秋になって出生直後には肺胞上皮幹細胞の出現は見られないとする報告が出現しており解析系として出生直後は不適であった。そこで、現在は肺切除後肺再生での肺胞上皮幹細胞に着目して遺伝子発現解析を行っている。さらに少ないmRNA量に対応すべくPCRアレイを用いた解析を最初に行い、解析の着目点を明らかにしようと考えている。
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