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2009 年度 実績報告書

グリオーマ細胞に特徴的なエネルギー代謝に着目した治療耐性克服へのユニークな試み

研究課題

研究課題/領域番号 20791002
研究機関山形大学

研究代表者

富山 新太  山形大学, 医学部, 助教 (40385810)

キーワードグリオーマ / エネルギー代謝
研究概要

がん細胞は酸素利用可能な状態でもあえてエネルギー効率の悪い嫌気的代謝を行う不思議な性質(Warburg効果)をもっており、がん研究の領域で長年の謎とされてきた。これに対して最近我々は細胞自殺制御の基本メカニズムを明らかにし、そこで得られた知見に基づいて「Warburg効果はがん細胞が好気呼吸による細胞死のリスクを回避しつつ嫌気的代謝により安全にエネルギーを確保しようとする巧妙なサバイバル戦略である」との仮説を世界に先駆けて提唱するとともに、「ミトコンドリア呼吸の回復によりがん細胞の細胞死(治療)感受性を回復できる」という新たな可能性を示した。本研究課題はこのような仮説の実証を目的とするものであるが、昨年度までに正常細胞に対するtemozolomideの毒性を増強することなくグリオーマ細胞に対する殺細胞効果を増強することのできる薬物を発見した。重要なことにこの薬物は単独でもミトコンドリア呼吸を促進するが、temozolomideとの併用時にはtemozolomideによるミトコンドリア呼吸促進効果を増強する。さらに、ミトコンドリア呼吸を抑制した状態では、この薬物によるtemozolomideの効果増強作用は失われた。これらの結果はこの薬物がミトコンドリア呼吸の促進を通じて細胞のtemozolomide感受性を高めていることを示唆するものである。そこで本年度はinvivoにおいてこの薬物がtemozolomideのもつ抗腫瘍効果を増強するか検討した。グリオーマ細胞をヌードマウス皮下に移植し、腫瘍を形成したのちこの薬物単独、temozolomide単独、あるいは両者同時に投与を行ったところ、この薬物単独には抗腫瘍効果は認められなかったが、両者併用でtemozolomide単独より顕著な抗腫瘍効果が得られた。現在脳内腫瘍モデルにおいても同様に併用による上乗せ効果が見られるか検討中である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2010 2009

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Regulation of neural stem/progenitor cell maintenance by PI3K and mTOR2010

    • 著者名/発表者名
      Sato A, et al.
    • 雑誌名

      Neurosci Lett 470

      ページ: 115-120

    • 査読あり
  • [学会発表] Mechanism of heavy ion radiation-induced glioma cell death2009

    • 著者名/発表者名
      Tomiyama A, et al.
    • 学会等名
      第68回日本癌学会総会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      2009-10-03

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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