研究概要 |
治療に難渋する悪性脳腫瘍に対しての骨髄間葉系幹細胞(mesenchymal stem cell, MSC)/ganciclovir(GCV)を用いた自殺遺伝子療法の研究を行った。ラットC6脳腫瘍細胞に対し、herpes simplex virus-thymidine kinase(HSVtk)を導入したMSC(MSCtk)を用いて治療を試みた。In vitroでは、MSCtk:C6の細胞比率が1:128でも抗腫瘍効果を示し、1:32で完全な腫瘍死滅効果が得られた。培養顕微鏡での観察では、MSCtkが48時間以上生存し、bystander効果が続いていく様子が観察された。In vivoでのラットを用いた研究では、腫瘍縮小効果と、生存曲線の延長が確認された。安全性の確認では、in vitroにおいてneuronおよびgliaの初代培養上にてMSCtk/GCV治療を行ったが、正常脳細胞に対する影響は見られず、in vivoにおいては治療ラットの経時的な組織学的検索を行ったが、正常脳細胞に対する影響は認められなかった。MSCtk/GCV治療は、効果的で安全な治療であると考えられた。
|