平成21年度は、てんかん原性のない日本人脳のGyrationの解析を目的として、標準化に向けた脳MRIの収集を完成させた。正常脳のボランティアを、和歌山県立医科大学倫理委員会で承認を受けた(承認番号559、平成20年6月20日)プロトコールに従い収集した。当該研究のためのMRIの特殊なシークエンスのテスト撮影を5名に対して行い、実際の撮影人数は56名分となった。共同研究者J-F Mangin、J Regisとの協議を経てボランティア脳の解析のための検討を行った。実際のうち合わせは、21年8月にフランスのOrsay、Marseilleの2都市において会議を行い、日本で正常脳のMRI解析を開始した。平成21年度における実績は、男性28名、女性28名と予定に達し、前向き研究による収集に必要な正常脳の数が男性25名、女性25名を確保できた。実際に、正常脳のモデルに使用できない可能性のある脳が、男性3名、女性3名に発生しているためこの修正は妥当であった。正確な脳回のラベリングに関しては脳研究として日本人脳に関する発表が皆無であるので慎重かつ迅速に行うものとするが、臨床応用に役立てる目的で非常に意義高いものと考えている。中心溝の解剖学を中心とした解析で、中心溝と帯状回縁部と連続する例があり従来の学説と異なる知見例として平成21年2月にCI総会で演題発表を行った。 脳神経外科臨床での応用に関しては、脳外科手術前に脳回や脳溝の解剖を基に術前や術中の位置情報確認による手術補助の有用性の指摘、術後の適正切除の評価方法などが確立されつつある。
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