現在、各動物種間の椎間板細胞の細胞代謝について測定比較検討しており、その概要については第23回日本整形外科学会基礎学術集会、第43回脊髄障害医学会にて発表を行っている。要点については、以下の通りである。 ラット、ウサギ、ウシの髄核組織をHE染色で比較検討し、ラット、ウサギは複数の細胞によるクラスターの形成を認め、細胞内に胞体形成がみられ、細胞数もウシと比較して多く存在していたことが分かった。それに対してウシの椎間板組織では細胞は軟骨細胞様であり胞体形成は見られず細胞数も少ない。また透過型電顕像では、ラット、ウサギにおいては核周囲に大小様々な胞体の形成を認め、細胞間にtight junctionを認めた。ウシ髄核細胞では細胞の直径も小さく、clusterの形成も無かった。 次にアルジネートを用いた髄核細胞の3次元培養では、細胞の生存率は培養3日後そして5日後で各群とも90%以上であった。乳酸産生量は、ラットで5日間の平均で37.6mM/cell/24hrs、ウサギにおいては36.2mM/cell/24hrs、ウシで18.5mM/cell/24hrsとラットとウサギにおいて細胞代謝活性が高い結果であった。ビーズ内のGAG産生量では、培養3日目、5日目ともにウシに比べ、ラットで産生量が多く、培養5日目において、ラットとウサギ、ウシでそれぞれ平均704.8、444.3、207.4μg/mlでラットはウシと比較して約3.5倍、ウサギにおいては約2倍のGAG産生がみられた。
|