研究課題
In vitroにおけるPAR-2アゴニストの椎間板細胞基質代謝への影響14週齢のSDラットの腰椎より線維輪細胞を分離し単層培養を行い、7日間の初代培養後PAR2アゴニスト(0.1, 1μM : 12-Furoyl-LIGRLO-NH_2)をIL-1β(1ng/μl)の存在、非存在下で24時間培養した。PAR-2アゴニストを投与することにより培養液中のIL-1β量が増加した。また、ADAMTS-4のmRNAレベルの発現は上昇し、MMP-3, 13の発現はIL-1β存在下にPAR-2アゴニスト(1μM)を加えることによりIL-1β単独刺激に比べ著しく増加した。ヒト椎間板組織におけるPAR-2の発現ヒト椎間板組織19椎間板を本研究に用い、PAR-2蛋白の発現を免疫組織学およびWestern blotにて検討した。椎間板を変性初期群と変性進行期群に分け、PAR-2陽性細胞の分布を免疫組織学的に比較検討した。ヒト椎間板組織においても、PAR-2蛋白の発現を認めた。PAR-2陽性細胞は、線維輪では変性初期群に対して変性進行期群で有意に上昇し、髄核では変性進行期群での上昇は統計学的な有意差を認めなかった。平成20年度の研究により、椎間板変性の進行に伴いPAR-2の発現が上昇することが判明した。特に、線維輪組織にてその発現が著しいことにより、線維輪断裂の病態の関わっている可能性が示唆された。さらに、PAR-2アゴニストを用いた機能解析により、PAR-2の活性化が椎間板変性に関わる炎症性サイトカイン、蛋白分解酵素の発現を促進することが判明した。近年、変性椎間板組織において、蛋白分解酵素(セリンプロテーゼ)の発現が注目されているが、本研究によりセリンプロテナーゼにより、椎間板基質蛋白が分解されるだけではなく、PAR-2を活性化することにより、さらに炎症性サイトカインネットワークを活性化させ、椎間板組織の基質分解を促進させる可能性が示唆された。
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