研究課題
関節リウマチの病態において、炎症性サイトカインによってリンパ球の遊走が誘導されるが、どのようなケモカインを介しているのか明らかでなかった。我々は、IL-1によって刺激されたヒト関節リウマチ滑膜細胞がケモカインCCL20およびTh17細胞が発現する受容体CCR6を介してリンパ球の遊走を誘導していることを明らかとした。また、CCL20の産生には、これまでIL-1とTNFαが関与している事は知られていたが、今回IL-6シグナルも関与している事を明らかとした。また、CCL20はリンパ球遊走を誘導するだけでなく、IL-6の産生に関与し、これはTh17細胞により分泌されるIL-17と協調的である事を明らかにした。このことからCCL20は関節リウマチの病態においてvicious cycleの形成に関与する事が示唆された。また、IL-1はヒトTh17細胞の分化に関与するだけでなく、Th17細胞の遊走にも関与している事が明らかとなった。これらの関節リウマチの病態におけるCCL20の役割について現在投稿中である。また、関節リウマチの関節局所に存在するリンパ球を解析する事によりCXCL13などのケモカインおよびサイトカインが特異的に発現している事を明らかとした。今後も関節リウマチの関節局所において特異的に発現する分子を引き続き解析する事により、関節リウマチの新たな病態を明らかにし、新たな治療方法の開発へつながる事が期待される。
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Arthritis Rheumatism 60
ページ: 813-823