関節リウマチの病態にCD4陽性T細胞が関与すると考えられているが、明らかにすべき点が多い。関節リウマチ患者由来の線維芽細胞様滑膜細胞をサイトカインにて刺激すると、IL-1β、TNF-αにてケモカインであるCCL20の産生が誘導されたがIL-6単独では誘導されなかった。TNF-αにて誘導されるCCL20の産生は抗IL-1β抗体にて抑制された。また、TNF-αと同時に可溶型IL-6受容体を加えると産生が増強した。これらより、CCL20の産生にはTNF-α、IL-1β、IL-6がautocrine/paracrine的に関与していることが明らかとなった。次に、炎症性サイトカイン刺激により細胞遊走が生じる機序を明らかにするために、滑膜細胞をIL-1βにて刺激して得られたconditioned mediumに対するヒト単核球の遊走を解析した。細胞遊走はCCL20の受容体であるCCR6特異的に生じ、CCL20の中和抗体を投与したところ、CCR6特異的な細胞遊走は抑制された。このことにより、炎症性サイトカインにより誘導されるリンパ球遊走にはケモカインであるCCL20とその受容体であるCCR6が重要な役割を果たしていることが明らかとなった。CCR6はIL-17産生性ヘルパーT細胞に特異的に発現している。そこで、IL-17とCCL20がサイトカイン産正に及ぼす影響を解析したところ、CCL20はIL-6の産生を誘導し、この産生はIL-17により増強しIFN-γにて影響を受けなかった。このことから、炎症性サイトカインはCCL20を介したCCR6陽性細胞の遊走を促し、この細胞群により産生されるIL-17はCCL20と協調的にIL-6の産生を生じることで炎症の継続が生じるという関節リウマチの病態が明らかとなった。この成果はCytokine. 2009 47 (2) : p112-p118に掲載された。
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