研究概要 |
研究成果: 家兎内側側副靭帯(MCL)損傷モデルに対し、bFGF,GDF-5,ペプチドハイドロゲルを投与することで、靭帯修復を促進することが可能であった。この結果は、靭帯組織の良好なリモデリング過程においてbFGF,GDF-5,かつ細胞増殖・遊走のための足場が重要であることを示唆している。これまでに研究代表者は、MCL損傷に対するScleraxis遺伝子導入がI型collagenの発現を増強し、靭帯修復を促進する可能性を報告した。本年度は、さらに研究を進め、これらのはたらきにはメカニカルな刺激が関与していることを明らかにした。 前十字靭帯(ACL)-骨軟骨接合部において特異的なCTGF発現が認められるとともに、周期的伸張刺激によりACL interface細胞におけるCTGF発現の増強されることから、ACL-骨軟骨接合部においてCTGFが局所的に重要なはたらきを担っている可能性が示唆された。 研究目標の達成度: 本年度研究計画において、靭帯実質部損傷の修復促進には、bFGFおよびGDF-5の組み合わせが有効であり、靭帯-骨軟骨接合部損傷の修復には、CTGFおよびメカニカルストレスが重要な役割を担うことが明らかとなった。 これらの結果は、当初の研究目標を上回る研究成果であり、靭帯修復促進を目指した遺伝子治療に併用可能な技術であると考える。 研究成果の学術的意義、発展性及び厚生行政に対する貢献度: 靭帯組織への遺伝子導入、成長因子投与、および機械的刺激による靭帯修復効果をそれぞれ明らかにした。 また、本研究により、靭帯損傷修復への新しい治療法が開発される可能性がある。
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