本研究の目的は、強度の高い素材と骨伝導性の高いSAPSを併用し初期強度、骨伝導性を両立した骨充填剤を開発することである。本年度の業績は下記のとおりである。 (1) 実験結果について論文を作成 PEEK剤を使用した骨幹部スペーサーの作成および強度計測、動物実験における骨再生の評価、スペーサー内や骨形成部位における遺伝子発現の検討について仮説通りの結果が得られた。この結果について、'Bone Repair using a hybrid scaffold of self-assembling peptide PuraMatrix and polyetheretherketone cage in rats'という論文を執筆し、Cell Transplantation誌に投稿した。最終的に掲載が決定している。 (2) 成長因子を使用した骨形成効率の向上 SAPSはゲル化させる際に成長因子を取り込むことが可能である。今回、骨誘導因子であるBMP-2、血管誘導因子であるVEGFについて、各種濃度でSAPSに取り込み骨形成に及ぼす影響について検討した。成長因子を投与した場合には、SAPSのみを使用した場合に比べ旺盛な骨形成を示した。現在これらのデータについて検討中である。データを検討したのち、学会発表や論文執筆の予定である。 この2年間の研究期間において当初予定していた研究については概ね結果を出すことができた。さらなる改良の余地はあるので、より効率の良い素材の研究を続けていく。
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