研究課題
当講座で得られた骨芽細胞特異的Bcl-2トランスジェニックマウス(tgマウス)は、骨芽細胞の分化障害により骨細胞の細胞突起の形成が悪く、週齢を経るに従って皮質骨中の60-80%の骨細胞がアポトーシスにより死滅していた。生理的な状態で、皮質骨骨細胞死の割合と逆相関して皮質骨内骨膜上の破骨細胞数が減少し、また、4ヶ月齢tgマウスで尾部懸垂実験を行うと、野生型マウスと比較して大腿骨遠心部二次海綿骨の骨量が減少せず、破骨細胞の誘導が起こっていなかった。詳細な解析の結果、tgマウスは野生型マウスと比較して骨細胞の機能には差は無く『骨細胞同士の細胞連絡の途絶によって破骨細胞誘導のシグナルが骨細胞から骨芽細胞に伝わっていない』事が強く示唆された。(平成20年度研究実績報告書)そのため今年度は当講座で作製された皮質骨中に骨細胞がほとんど存在しないマウス(TypeII Runx2 tg)(Dev Biol. 2006 Aug 1 ; 296(1) : 48-61)を用い、野生型マウスとtgマウスの尾部懸垂実験後の皮質骨分画をマイクロアレイで比較することによって、非荷重時に骨細胞で変動する因子の探索を行った。【結果】12週齢、雄の野生型マウスおよびTypeII Runx2 tgマウスで3日間尾部懸垂を行い、長管骨皮質骨分画からRNAを採取しマイクロアレイを行った。その結果「野生型対照群対野生型懸垂群」「tg対照群対tg懸垂群」「野生型対照群対tg対照群」「野生型懸垂群対tg懸垂群」の4種類の比較において2倍以上増加した遺伝子および1/2以下に減少した遺伝子として5322個の遺伝子が該当した。これらの遺伝子から受容体として発現するものと、分泌因子として発現するものを検討したところ、受容体は17遺伝子、分泌因子は24遺伝子が該当した。現在、変動する分泌因子の中に非荷重時に骨細胞より分泌され骨芽細胞にRanklを誘導し破骨細胞を活性化させる因子が有るものと考え、検討を行っている。
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6th international Symposium on Electron Microscopy in Medicine and Biology
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