(目的)臓器特異的内在性幹細胞および前駆細胞とそのニッチの存在は組織恒常性維持に不可欠であるが椎間板では報告がない。我々は椎間板変性の病態とその予防・治療法開発の目的で椎間板内在性幹細胞の同定を試みた。一般的に活性の高い細胞集団はコロニー形成能が高い為、マウス、ラット、イヌ、ヒトの椎間板細胞にコロニー形成能力があるのか否か、および導出コロニーを形態別に分けそれぞれの細胞活性、分化能力を評価したので報告する。 (方法)C57BL6マウス、SD系ラット、ビーグル成犬の腰椎あるいは尾椎より各々髄核と線維輪細胞を酵素処理し分離、メチルセルロース上にて28日間培養、経時的に細胞増殖率、コロニー形成能、形態を評価した。次にヒト髄核細胞を同様の手法にて評価した。 (結果)マウス、ラット、イヌ全ての髄核および線維輪細胞で接着型と球状型の3種類以上のコロニー形成細胞が導出された。イヌでの結果、細胞増殖率は腰尾椎間で差は認めなかったが、より器質合成能力が高い細胞を多く含むとされる尾椎髄核から多くのコロニーが出現した。ヒト髄核細胞でもこの2種類のコロニーを認め、提供者の年齢が若い方が球状コロニーの出現数が顕著に多く、免疫染色の結果、球状コロニーにより多く基質を産生する細胞が存在することが判明した。 (考察)本研究の結果、生物学的活性度の高い細胞集団は球状型コロニー形成細胞に多く、椎間板前駆細胞の一つであると考えられた。これらを中心にそのマーカーや分別法を解析することで、より再生治療に効果的な細胞組成や変性機序を解明できる研究に応用できることが示唆された。
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