消化管から分泌され、骨代謝、特に骨芽細胞に強力に作用するペプチドの分離・精製をおこない、その機能を解析した。【方法】(1)分離・精製したペプチドを合成し、骨芽細胞に投与し骨芽細胞の細胞増殖、分化への作用を検討した。細胞増殖はMTT assayを用い検討した。分化マーカー(アルカリフォスファターゼ:ALP、オステオカルシン:OCN)についてreal-time PCR、ALP activity assayを用い検討した。(2)骨粗鬆症ラットモデルを作成しペプチドを投与し骨密度の変化を測定した。ペプチドは浸透圧ポンプを使用し腹腔内への投与を4週間行った。(3)ペプチド投与を行ったラットより血清を採取し血中のALP、OCNの濃度を測定した。(4)ペプチド投与を行ったラットの骨を採取しμCTにて解析を行った。【結果】(1)骨芽細胞への投与により骨芽細胞の分化マーカーの有意な上昇を認めた。またペプチドのdose dependentな促進作用を明らかにした。細胞増殖への作用は認めなかった。(2)ペプチド投与により生食投与群(対照群)と比べ有意に骨密度の上昇を認めた。(3)ラットへの投与により血中の骨形成マーカーであるALP、OCNの有意な上昇を認めた。(4)ペプチドを投与したラットの骨において骨形成が促進されていることがμCTを用いた形態計測においても証明された。 この研究にて同定した新規ペプチドは今後新たな骨粗鬆症治療製剤の開発につながるものと考える。
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