骨格筋萎縮の進行に関与する因子の同定を目的として、ジストロフィン遺伝子に欠損があるmdxマウス骨格筋の遺伝子発現解析を行った。その結果、筋再生過程に発現が誘導される新規の分子RAMPを同定した。ヒト正常筋由来の筋細胞株に比べ、6人のDMD患者由来の筋細胞株でRAMP mRNAの発現が低下することを明らかにした。生体内におけるRAMPの機能を明らかにするために、RAMP遺伝子ホモ欠損マウスの作成を試みたところ、胎生致死であった。RAMPは筋再生および初期発生過程に関与していると考えられる。本研究ではRAMPの生理的役割を明らかにすることを目的とし、コンディショナルRAMP遺伝子欠損マウスを作成および表現型の解析、RAMP結合分子の同定を行った。 本年度はRAMP結合分子の同定を行った。RAMP抗体を用いた共免疫沈降により、再生筋でRAMPと結合している分子の同定を試みたが、免疫沈降実験で再現性を得ることができなかった。そこで、RAMPタンパク質のN末をbaitとし、yeast two-hybrid assayを行い、11クローンを得ることができた。これらのうち7クローンは膜貫通領域を持つタンパク質をコードしていた。RAMP抗体を用いた免疫組織染色では、再生筋周辺の細胞外マトリックスにRAMPが局在することが明らかになっていることから、得られた7クローンがRAMP結合分子の候補として考えられる。現在、これらがin vitroでRAMPを結合できるのかどうか共免疫沈降により検討している。今後、これらの分子が生体内でRAMPを結合するのか検討する予定である。
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