この研究課題は全てヒトを対象にした臨床研究であるため、リスクの把握と安全性が最優先される。1年前からの準備段階を経て、申請課題にあるプロトコルに従い実施した。10月末よりMRIの担当工学博士と打合せを重ね、計画通り、準備段階の研究prelimmaly studyを終了した。平成20年11月26日、学内の倫理委員会を通過し、平成21年01月26日に安全委員会の了承を得て、2月2日に5人の被験者を対象にMRI撮影を実施し、現在結果の解析中である。世界初となる、氷を用いた痛覚刺激をヒトに対して行い、その有用性を大脳中枢レベルでメカニズムを解き明かそうとする試みも同時に実施し、事故もなく安全に終了することができた。また、日本ペインクリニック学会において教育講演「脳から見た痛み」、日本臨床麻酔学会(11月)臨床教育セミナー「ニューロバシックペインとCRPS-新たな治療法の開発に向けて-」、8月の国際疼痛学会での発表と、脳科学分野の学会活動、教育活動、講演を精力的に行った。さらに、脳活動イメージングセンタで施行した脳科学実験を、実験手順の指導を担当した二人の工学博士から解析の指導を受けている。その指導により、得られたdataに、さらなる解析を加えることが出来て、理解と解釈に深みが増した。解析に用いたソフトプログラム「spm」は、世界中の脳科学者のディファクトスタンダードであり、その修得は必須のものであると考えられる。共同研究者である愛知県は岡崎市にある自然科学研究機構生理学研究所の柿木教授の研究室へは、よく連絡をとりData解釈について闊達なdiscussionを行い、有機的な研究活動が行えるよう常に努力している。
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