研究概要 |
【目的】近年安全な麻酔薬の開発により, 高齢者が全身麻酔使用下に手術を受けることが可能となったが, 高齢者の増加に伴い増加している, 認知機能障害やアルツハイマー病のような神経変性疾患における麻酔薬作用の変化については, 未だ明らかでない. 我々は,認知機能障害, アルツハイマーモデル動物として, 老化促進モデルマウス(SAM)を使用し, 認知機能障害に及ぼす全身麻酔薬作用の影響について検討した. 【対象】対象SAM R1 ; control(30-40g,16-20w,n=6)とSAM P8(30-40g,16-20w,n=7)で比較した. 【方法】ウィスター系雄性ラットを麻酔後断頭し, 海馬スライス標本(400μm)を作成した. 2本の刺激電極をシャーファー側枝(Sch)と海馬白板(Alv)に, 細胞外記録電極をCA1錐体細胞体領域に置き, 集合電位(PS)を記録した. Pre-pulseとしてAlvに刺激を与えた反回性抑制あり(PrepuIse+)と反回性抑制なし(Prepulse-)の2つの神経回路を同時記録した. 【結果】2%セボフルランによるPS ampIitudeの変化は, PrepuIse(-) : R1=78±15%, P8=42±23%とP8では有意(P<0.05)にセボフルランによる抑制が促進された.一方Prepulse(+) : R1=55±14%,P8=24±23%この結果は反回性抑制の有無によらない. 【結論】認知症モデルマウスでは,セボフルランによる麻酔作用が増強される可能性が示唆された.
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