研究課題
従来、コリン作動性神経は哺乳類の後根神経節(Dorsal root ganglion ; DRG)には証明されていなかった。最近になって, アセチルコリン(acetylcholine ; Ach)の合成酵素(Choline acetyltransferase ; ChAT)に選択的スプライシングによるアイソフォームが存在することがDRGのニューロンに発見された。このアイソフォームはpChAT(末梢性ChAT ; peripheral type of ChAT)と言う。また、pChATは、DRGで、唯一Achを合成する.本研究の目的であるDRGにおけるpChATの機能的役割を明らかにするために、傷害痛のラットモデルの痛覚に対するAchの影響を検討した。侵害受容感覚の分析とリアルタイムのRT-PCRを使用して、2種のモデル(坐骨神経結紮モデルと内臓痛モデル)でコリン作動薬の影響を分析した。傷害痛のラットモデルとコリン作動薬によってコリン作動性マーカーの発現が変化する。この結果、pChATは侵害受容の調節機能の役割をもつことが明らかとなった。pChATの役割をより詳細に調べるために、2つの方法で調べた。第一にはAch合成阻害pchAT低分子干渉RNA(siRNA)を生体内のDRGに注入する。第二には、Ach合成阻害pChATモノクローナル抗体を生体内のDRGに注入する。興味深いことにこの新しいモノクロナール抗体はヒトのDRGに含有されるpChATを認識することが初めてわかった。
すべて 2009 2008
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