研究概要 |
眼窩下神経絞扼のモデルにおける核小体低分子RNAが新しい創薬ターゲットになりうるかの検討を行った。まず,RBII-52の定量系、セロトニン2C受容体の選択的スプライシングの割合の定量系の確立を目指し、標準サンプルでの検討を重ねた。その後そのプライマーとプローブを用いて眼窩下神経絞扼モデルの三叉神経節、頸部脊髄での変化をとらえた。三叉神経節においてはセロトニン2C受容体の発現そのものが低く、頸部脊髄においてはセロトニン2C受容体の選択的スプライシングが起こっている受容体の割合はわずかであり、RNA編集に比し実際のセロトニン伝達に与える影響はわずかである可能性が考えられた。さらに、核小体RNAの定量結果はナイーブで高値を呈し、シャム手術、モデル手術のいずれも低値を示したため神経因性疼痛による影響で発現量が動く性質のものではなく、外科的ストレスでその発現量が変化する因子である可能性が考えられた。選択的スプライシングの結果も同様の傾向が認められた。現在、選択的スプライシングがRNA編集に及ぼす影響について解析中である。プラダー・ウィリ症候群において、病気の患者において疼痛感受性が低いという報告がなされたが、患者の中にはRBII-52の欠損を認めその影響が痛みの感受性の低下に結びつくと考えて実験を行ってきたが、昨今の趨勢は、RBII-52よりはむしろRBII-85の方がプラダー・ウィリの有力な因子であるとの報告が多い。従ってターゲットをRBII-52から85に変更して現在その定量系の確立を目指して実験中であるがいまだ成功していない。今後もRBII-85の定量系の確立に向けた実験を続行し、その変化との関連が見いだせたら今度こそ創薬につながるものと考え続行中である。
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