近年注目されている炎症性サイトカインであるhigh mobility group box 1(HMGB1)蛋白を阻害することで脊髄虚血による神経損傷が軽減するかどうか検討した。家兎を対照群(C群、生理食塩水投与)、低用量抗HMGB1抗体投与群(L群、総量1000μg)、高用量抗HMGB1抗体投与群(H群、総量2000μg)の3群に分けた。家兎の腹部大動脈を13分間遮断することで脊髄虚血を作成した。再還流後、7日間後肢運動機能(5段階評価、4:正常、0:麻痺)を評価し、病理組織標本で脊髄前角の正常細胞数を測定した。3群間に後肢運動機能のスコア並びに脊髄前角の正常細胞数の差はみられなかった。抗HMGB1抗体単独での脊髄虚血保護効果は認められなかった。
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