本研究では妊娠時高血圧における脳血流調節機構を明らかにし、それらに麻酔薬が及ばす影響を調査し、臨床での妊娠高血圧における麻酔管理に適した麻酔薬を示唆することを目的としている。その第一段階としてラットで妊娠高血圧モデルを作成し、そのスライス標本で一酸化窒素およびカリウムチャネルの役割を、薬理学的手法でアプローチを試みた。妊娠後期のラットに一酸化窒素合成酵素阻害薬であるL-NAMEを与えることで、母体の血圧を上昇させ子宮胎盤血流障害および胎児発育遅延など子癇症に似た病体を作成することができるとされているが、規定の血圧に達するモデルを効率よく得ることが難しく、またラットの血圧を測定する技術が安定するまで時間を要した。得られたモデルラットで薬理学的に一酸化窒素およびカリウムチャネルの関与を調査するため、各種阻害薬を用いた。まだ明確な傾向が見られる毅階ではないが、引き続きデータ数を増やし、遺伝子工学的手法でのアプローチへ繋げていく予定である。
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