研究概要 |
体重230〜250gの雄Wistarラットを使用した。中大脳動脈脳梗塞モデルの手技の確立を行なった後、主として脳梗塞部位からの細胞傷害マーカーである3-nitrotyrosineや8-nitroguanosineの測定をマイクロダイアリシス法を用いて行なった。[方法]モデル作成5-7日前にペントバルビタール麻酔(50mg/kg)下、脳定位固定器具にラット頭蓋を固定した。線条体は脳虚血再潅流で他の脳部位よりも虚血に対して脆弱性があることが知られているため、Paxinos & watsonの脳地図に従って、マイクロダイアリシス用ダミーカニューラをBregma-14mm, 外側 ; 5.0mm, 背腹 ; 2.8mmに留置し、脳波・項部筋電図電極と共に歯科用セメントにて固定した。中大脳動脈脳梗塞モデルおよび脳灌流液の採取は以下の方法で行なった。2%イソフルラン麻酔後、シリコンコーティングナイロン糸を中大脳動脈に90分間挿入し再灌流した。マイクロダイアリシスプローブは2μl/mmで潅流し、20分毎にfraction collectorにて灌流液を採取した。測定はHPLCを用いて行なった。[結果](1)再灌流後0分〜160分の3-nitrotyrosineおよび8-introguanosineの測定を行なったが、微量も検出されなかった。(2)再灌流後24時間モデルに対して7サンプル採取し測定を行なったが、いずれも検出されなかった。(3)再灌流後96時間モデルに対して7サンプル採取したが、いずれも検出されなかった。以上の結果から、3-nitrotyrosimeおよび8-nitroguanoshleは虚血再灌流障害の指標としては適切でないことがわかった°現在、以前から指摘されているMDAおよびisoprostane等の他のマーカーの可能性をELISA法により検索している。
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