本研究の目的は、吸入麻酔薬による興奮の分子細胞機構を解明することである。具体的には現在までに証明した吸入麻酔薬によって誘発される青斑核の興奮が、行動上の興奮を引き起こすという新たな事実を証明することにある。以上の目的を遂行するために、本年度は以下の実験を行った。 行動実験 : 実際に青斑核の興奮が動物個体の興奮の原因となるかを直接的に検証するための準備段階として動物の行動を計測するための実験装置の開発と解析プログラムの確立を行った。方法として、まず2軸加速度センサをアクリル板に設置した。アクリル板に各動物の重量に応じたバネを設置した。アクリル板をファンの付いた箱の内部に設置した。箱は充分な大きさとした。流量計と気化器を接続した回路に箱を接続した。箱の中のアクリル板上に動物を入れた。一定時間空気又は酸素で環流し、動物を慣れさせた。行動は2軸加速度センサを通じて記録装置に入力された。麻酔ガスを投与し際、箱内の麻酔ガス濃度はファンを用いて一定に保ち、麻酔ガス解析器を用いて濃度を測定した。余剰ガスはガス吸着装置を用いて排気した。一定時間麻酔ガスを投与し中止した。以上の実験の間、2軸加速度センサから入力された記録を解析した。解析にはノイズの除去等を考慮したプログラムを作成した。 結果として、動物の行動を計測するための実験装置は完成し、動物の行動をデジタル信号に変換することに成功した。麻酔ガス投与による動物の行動変化は観察されるものの、行動変化を反映したデジタル信号解析プログラムは現在作成中である。
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