研究課題
硬膜外麻酔のための穿刺針の安全性を高めるために、穿刺している周辺組織を定量的なデータで示すことが可能な針を開発することが目的であった。今年度は電気特性計測、画像計測、針穿刺抵抗の分析をおこなった。電気特性計測の基礎実験として、インピーダンスアナライザを用いて、食用の骨付きブタ肉を対象に計測実験をおこなった。黄色靭帯のインピーダンスが2桁高い傾向を示したが、再現性が低く、筋肉との相対的な比較も困難であった。また、全身麻酔下のブタ筋肉のインピーダンスを測定したが、印加電圧を大きくする必要があるなど、in vitro実験との違いが見られた。画像計測について、全身麻酔下のブタを対象に動物用の内視鏡を挿入することを試みた。針先が抜ける先の硬膜外腔を観察しえたが、周辺組織の違いを画像から読み取ることはできなかった。針穿刺抵抗の分析について、穿刺途中で組織をホルマリン固定することで、穿刺抵抗と細胞の変形の分析をおこなった。その結果、黄色靭帯が針先で切開される前に変形している様子を明らかにし、針の穿刺抵抗を評価する上で、黄色靭帯の変形を考慮する必要があることを示した。また、穿刺対象のブタ黄色靭帯の厚さと弾性係数を測定し、ヒトの文献値と比較した。その結果、厚さは平均1.2mmとヒトの半分程度、弾性係数が2MPaとヒトの25分の1と小さい値であった。ブタによる評価はヒトに比べて結果が強調されうることがわかった。
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WC 2009, IFMBE Proceedings 25/VI
ページ: 28-31