モルモット小腸粘膜下層細動脈において、血管径と膜電位の二つの同時測定を行った。静止膜電位はコントロールでは-70±9mV、LPS投与群-69±10mVで有意差はなかった。イベリオトキシンを投与すると、コントロール群の膜電位は-69±10mV、LPS投与群-66±10mVで静止膜電位との優位な差は見られなかった。塩化バリウムにより脱分極と収縮を起した血管において、アセチルコリン(ACh)を投与するとコントロールでは15.1±2mV過分極し、10±1.0μm弛緩した。一方LPS投与群ではACh投与により11.2±2mV過分極した、8±2μm弛緩した。この過分極と弛緩はカリブドトキシンにより抑制され、アパミンの追加投与により完全に見られなくなった。しかし、抑制具合にコントロール群とLPS処置群に差は見られなかった。以上の結果より、モルモット小腸粘膜下層細動脈ではLPS処置により静止状態での変化は見られなかったが、AChによる血管弛緩機構が抑制されていることがわかった。しかし、その機構については今後の検討課題となった。
|