研究概要 |
まず、前立腺癌及び腎癌におけるアポトーシス抑制因子であるsurvivinの発現を調べ、survivinの抑制による抗腫瘍効果つき検討した。前立腺生検組織におけるsurvivin mRNA発現は、前立腺肥大症に比し、前立腺癌で、さらに高悪性度の癌で有意に過剰発現していた。一方、臨床腎癌摘出組織においては遠隔転移症例で有意に過剰発現していた。前立腺癌細胞および腎癌細胞において、survivin遺伝子に対するsiRNA導入により細胞増殖が有意に抑制された。 また、前立腺癌においては活性型ビタミンDである1α, 25(OH)2D3とsurvivin抑制による抗腫瘍増感効果につき検討した。ホルモン依存性前立腺癌細胞LNCaPにおいては1α, 25(OH)2D3単独で細胞増殖が抑制された。一方、ホルモン非依存性前立腺癌細胞DU145においては1α, 25(OH)2D3単独では細胞増殖抑制をきたさなかったものの、siRNAによるsurvivin mRNAの発現抑制下では、1α, 25(OH)2D3によりDU145細胞増殖が抑制された。 これらの結果は、survivinが前立腺癌および腎癌の増殖に関連していること、またホルモン非依存性前立腺癌に対する1α, 25(OH)2D3治療にsurvivinの抑制が有効である可能性が示唆された。
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