我々は男性ホルモン非依存性前立腺癌細胞株DU145、C4-2、PC-3、男性ホルモン依存性前立腺癌細胞LNCaPに対し、ノスカピンの抗腫瘍効果を確認した。それぞれの細胞株に対するIC50は20-30uMであり、大差はないと考えられた。さらに腎細胞癌細胞株ACHNに対しても同様にin vitroにて抗腫瘍効果を確認した。ACHNのノスカピンに対するIC50は前立腺癌細胞株と同様で30uMであった。このため前立腺癌・腎細胞癌細胞株両者ともノスカピンに対する感受性に差はなく、ノスカピンはこの両者に対して有効である可能性が示唆された。In vivoの実験としては、前立腺癌骨転移モデルとして前立腺癌骨転移細胞株PC-3のマウスtibia骨移植モデルを使用した。治療対照群としてタキソテール腹腔内投与群および非治療対照群を設定した。PC-3をマウス骨に移植後治療群は2週間後より1) ノスカピン経口投与一日一回、2) タキソテール腹腔内投与一日一回3) 両者の併用治療とに分け、腫瘍の増大スピードをモニタリングした。非治療群では骨移植腫瘍は38日間の治療期間中、継続して増大傾向を示した。タキソテール治療群、ノスカピン治療群、両者併用群ともに抗腫瘍効果を確認したが、タキソテール治療群よりノスカピン治療群で抗腫瘍効果を強く認め、一部のマウスでは、腫瘍の消退を認め。両者の併用群はノスカピン治療群とほぼ同等の抗腫瘍効果を認めた。SDが大きく追試が必要と考えているが、興味深いことにノスカピンはin vitroでの抗腫瘍効果に比較して、in vivoにおいて強い抗腫瘍効果を発揮していると考えられた。in vitroではノスカピンは前立腺癌細胞株にアポトーシスを誘導することが確認された。
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