微量採取したヒト外尿道括約筋を抗NCAM抗体結合させた磁気ビーズを用いてMACS法に筋衛星細胞を分離、骨格筋特異転写因子(Myf-5とMyoD)の免疫染色を行い横紋筋由来であることを確認後にSV40virusのlarge T抗原を遺伝子導入して長寿化し、これらの長寿化外尿道括約筋細胞を用いて(1)Myostatinによる増殖抑制テスト及びFollistatinを用いた増殖抑制阻害テスト、(2)RT-PCRによるMyostatinの発現、(3)TGF-β superfamilyにおける主要なシグナル伝達経路であるsmad-2のリン酸化、について検討した。 (1)Myostatinによる増殖抑制テストでは10%FBS含有F-10培地においてMyostatinはヒト外尿道括約筋衛星細胞の細胞増殖を濃度依存的(0.1μg/ml)に有意に抑制した。またMyostatinの競合的阻害因子であるFollistatin投与によりヒト外尿道括約筋衛星細胞は増殖を促進したがMyostatin無添加群とMyostatin添加群ではその増殖能に有意な差を認めなかった。 (2)ヒト外尿道括約筋衛星細胞におけるMyostatinのautocrine作用の検討も試みた。RT-PCRではヒト外尿道括約筋衛星細胞はMyostatinを発現していた。 (3)シグナル伝達における検討ではMyostatinは添加15分後にはsmad-2のリン酸化を亢進したが120後にはリン酸化は元のレベルまで戻っていた。FollistatinによるMyostatinの阻害の検討ではFollistatin100μg/mlではMyostatain添加群のsmad-2のリン酸を有意に抑制した。 今後は外尿道括約筋の筋衛星細胞にMyostatinのレセプターであるアクチビンType II bレセプターが発現しているかを組織レベルで確認したい。また外尿道括約筋筋衛星細胞におけるmyostatinのsiRNAによる増殖、分化の抑制をfollistatin投与群と比較検討し、この結果をin vivoで証明すべく実際にラットの外尿道括約筋損傷モデルを作成しfollistatin、及びsiRNAを局所投与して筋再生が認められるかを検討したい(実際に現在ラットの外尿道括約筋損傷モデルを作成中である)。
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