研究課題
【活性型ビタミンD3製剤によるマウス腎癌細胞への影響(in vivo)】雌性BALB/Cマウスに腎癌株(Renca)を皮下移植し、活性型ビタミンD3投与による腫瘍増殖抑制効果の検討を行った。活性型ビタミンD3製剤は溶解しマウスに内服させ、2週間でsacrificeした。腫瘍体積は非投与群に比較して平均15%程度縮小傾向にあった。Tunnel染色の結果、腫瘍内にはアポトーシス細胞を有意に認め、フローサイトメトリーの結果、G1 arrestによる細胞周期の抑制を認めた。また、ビタミンD代謝酵素(CYP27A1、CYP27B1、CYP24)遺伝子のうち、CYP24は活性型ビタミンD3投与によりRNAレベルおよび蛋白レベルにおいても発現が上昇しており、代謝経路の活性化が示唆された。平成20年度から22年度に行った研究結果、Vitamin D receptor遺伝子多型のなかで、Apa I多型(AA)を有する腎癌患者は他の多型を有する患者に比較して予後不良であった。多施設臨床研究によって、進行性腎癌に対する活性型ビタミンD3製剤投与は認容性が十分で抗腫瘍効果が期待できるものであった。In vitroでの検討では、外因性のビタミンD製剤が正常腎細胞に与える影響は皆無で、腎癌細胞に1,25(OH)2D3の投与を行うとCYP24の活性が上昇し、ビタミンDの代謝経路が賦活化されると考えられた。また、分子標的薬であるsunitinib(血管新生阻害)との併用によりCYP24の活性が上昇し、抗腫瘍効果の増強を認めた。In vivoにおける検討で、腎細胞癌に対する活性型ビタミンD3の作用機序には、アポトーシスの誘導および細胞周期の停止が関与していることが示唆された。
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Actuelle Urol
巻: 41 ページ: 41-45
Proc Natl Acad Sci USA
巻: 107 ページ: 19891-6