自己免疫性精巣炎に対して感受性の高いA/Jマウス精巣の精子・精子細胞から抽出したpoly(A)+RNAを鋳型としてcDNAを合成した。合成したcDNAに制限酵素アダプターを付加し、λファージベクター(λZAPII)に挿入し、自己免疫性精巣炎モデルマウスの血清を抗体(IgG、IgM)としてプラークハイブリダイゼーションによるスクリーニングを行った。陽性であったコロニーからベクターを抽出した後、DNAシーケンサーによって塩基配列を決定し、blast serchにて候補遺伝子を同定した。Database上の情報から16個の遺伝子が精巣特異的発現していることが分かり、その内、未解析の遺伝子が3個含まれていることがわかった。さらに候補遺伝子の発現解析をRT-PCRにて行い、そのうち4個の遺伝子が精子・精子細胞が出現する5週齢以降の精巣に発現してくることが分かった。また、これらの候補遺伝子を発現ベクターに組み込みタンパク質を抽出し、ウェスタンブロッティング法で自己免疫性精巣炎モデルマウスの血清と反応するかどうかを順に確認した。これらの結果から同定した候補遺伝子の中に自己免疫性精巣炎を誘導する原因となる自己抗原たんぱく質を作る情報が存在すると推測している。現在、予定していた計画に従い、実際にA/Jマウスに対し、抽出したリコンビナントタンパク質をアジュバンドと共に2週間間隔で4回、皮下注射にて免疫することで自己免疫性精巣炎が誘導できるかどうか実験中である。また、精巣内の局在解析を行うためにウサギを用いてポリクローナル抗体の作製を開始した。
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