研究概要 |
昨年度のスクリーニングの結果から、自己免疫性精巣炎(Experimental autoimmune orchitis:EAO)の原因抗原となる可能性がある18の遺伝子を候補として挙げた。今年度は、候補遺伝子の発現タンパク質とEAO誘導の関与についてvivoにて検討するにあたり、リコンビナントタンパクの作製を行った。A/Jマウス精巣からとってきたmRNAを用いて、目的遺伝子のCDS全長をPCRにて増幅し、抽出した。増幅した目的遺伝子をGlutaihione S-transferase (GST)融合たんぱく質用発現ベクター(pDEST^<TM>15,invitrogen)に組み込み、DH5αにトランスフォームし、シークエンスにて塩基配列を確認した。その後、BL21(DE3)ヘトランスフォームし、IPTGを用いてタンパク質の発現を誘導した。タンパク発現の有無は、抗GST抗体を用いて確かめた。培養温度、時間、IPTG濃度など様々な条件検討を行ったが、上記の方法ではタンパク質の発現を得ることができなかった。そこで、GST融合たんぱく質用発現ベクターを変更(pGEX-2T)し、タンパク質発現の誘導を行った。その結果、18ある候補遺伝子の中で、5つのタンパク質の誘導に成功した。得られたタンパク質は全て不溶性タンパク質であった。そのため、当初の計画ではGSTビーズにより、目的タンパク質のみを精製したものをマウスに感作し、EAOの誘導を試みる予定であったが、精製を行わずに感作し、炎症の誘導の有無を比較検討することにした。現在、発現誘導されたタンパク質の投与量の検討を行っている。また、まだ発現が得られていない13の遺伝子に関しても条件検討、ベクターの変更など行い、目的タンパク質の誘導を試みる方針である。
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