我々は、高分子量のプロテオミクス解析によって膀胱癌組織で発現が消失する新規膀胱癌マーカー蛋白質ペリプラキン(PPL)を発見した。本研究では尿中剥離細胞でPPL発現を免疫組織化学的に検討することにより、より精度の高い膀胱癌の非侵襲的検査法を確立することを第一の目的とした。これまでに、尿中剥離細胞の免疫染色による解析から、癌患者群ではPPL発現が低下することを明らかとし、尿細胞診と併用することにより診断精度を向上させる可能性があること示した。これまで尿中剥離細胞でのPPL発現を解析してきたが、尿中で測定することが可能となれば、さらに簡便な膀胱癌の診断法を確立できると考えられたため、尿中でのPPL発現をWestern Blot法にて解析した。膀胱癌患者群6例、コントロール群3例の尿を用いて検討したところ、期待される分子量にPPLは検出されなかったが、分子量の小さいタンパク質が癌患者群で5例、コントロール群で1例に検出され、癌で発現が増加することが明らかとなった。PPLは新たな尿中マーカーとなると考えられ、尿中PPL測定は、より簡便な膀胱癌診断法となる可能性が示唆された。
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