BALB/cマウスをドナー、C57BL/6をレシピエントとするアロ心移植モデルを作成し、マクロファージ抑制物質であるDMDPリポゾームを移植前1日より1日毎に経腹腔投与した。しかし、急性拒絶反応の抑制を得ることができず、シクロスポリンAによるコントロール群に比し明らかに劣る結果であった。急性拒絶反応のため、DMDPリポゾームの経腹腔投与、皮下投与ではアロ移植心の生着をうる事は、現在まで実現できていない。DMDP濃度を上下することや投与経路の変更も考慮しているが、臓器移植モデルで行うことに時間的を要するとから、実験数に限りが出る。このため、アロ腫瘍細胞の腹腔移植を行い急性拒絶され消失する腫瘍細胞より長期間生着させることを基礎的な実験に立ち返ることとした。アロ移植モデルとして、P815mastocytoma細胞を3×10^6個、C57BL/6マウスに腹腔に移植した。急性拒絶反応により14日でP815腫瘍細胞がほぼ消失することを確認した。現在、腹腔にDMDPリポゾームを投与して、この急性拒絶を抑制し、腫瘍細胞の生着期間を延長させることが可能かの調査を開始している。活性化マクロファージ(AIM)抑制の抑制を得る方法としてDMDP以外に、すでに形成外科などで臨床的に販売使用されているトラニラストを経口投与する実験も並行して開始している。これらの方法で急性拒絶の抑制が可能であることに期待しているが、T細胞系つまりCTLの拒絶反応が強く、拒絶反応のコントロールが困難な場合はよりマクロファージが中心的に拒絶反応に中心的な役割をなすことが判明しているパーフォリンノックアウトマウスやパーフォリンとファスリガンドの両欠損マウスを用いて同様の実験を行いAIMの抑制から拒絶反応の抑制を行うことを想定している。
|