研究概要 |
対象]県内他施設から21例(A群)、院内での経験症例からの7例(B群)を対象とした。 [方法]異常妊娠(自然流産および胞状奇胎)で、絨毛組織が採取された症例で、妊娠管理医療機関および妊娠母体から研究参加について文書による同意が得られた症例について、DNA分析およびp57^<KIP2>免疫染色を行った。 DNA分析:母体末梢血中リンパ球および奇胎絨毛組織よりDNAを抽出し、母体アリルと奇胎アリルにおけるshort tandem repeat (STR)サイズを比較し、DNA構成を判断した。 p57^<KIP2>免疫染色:抗p57^<KIP2>モノクローナル抗体を用いて免疫染色を行い、絨毛栄養膜細胞および絨毛間質細胞の核の10%以上に染色を認めるものを陽性と判断した。合胞体細胞の染色性を陰性コントロール、絨毛外栄養膜細胞の染色性を陽性コントロールとして用いた。 [結果]A群において、肉眼的に全奇胎ではないとされていた症例のうち半数以上がp57^<KIP2>免疫染色では全奇胎と診断された。病理組織学的に部分奇胎とされた症例の4割強はp57^<KIP2>免疫染色では全奇胎と診断された。B群においては、DNA診断で全奇胎が5例、部分奇胎が2例あった。組織診断と免疫染色診断とDNA診断の三者を比較できた症例では、免疫染色診断とDNA診断の結果は完全に一致した。 [考察]肉眼や組織診断で全奇胎とはされていない症例の中に,雄核発生全奇胎が多く含まれている可能性がある。
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