研究課題
若手研究(B)
胞状奇胎妊娠は日本ではおよそ400妊娠に1回の頻度で生ずる。通常の妊娠は両親由来2倍体であるのに対して、全胞状奇胎は父方由来2倍体(雄核発生奇胎)、部分胞状奇胎は両親由来3倍体の遺伝学的構成を取ることが知られている。全胞状奇胎、すなわち雄核発生奇胎は奇胎妊娠の終了後に約10-30%で続発症(侵入奇胎)が生じるため、妊娠終了後には厳重な奇胎後管理を要する。続発症である侵入奇胎は、発症時期・hCG産生能・化学療法に対する感受性・転移の好発部位などの点で、生物学的に均一な特徴を有する。また10-30%と一般の新生物に比べ高頻度で発症することから、侵入奇胎と経過順調型全胞状奇胎との間には妊娠成立時から何らかの生物学的差異があると推定している。現時点では、全胞状奇胎のどの症例が続発症になるのかを予測する方法はない。そこで、経過順調型全胞状奇胎と続発症となった胞状奇胎ゲノムに対して、Affymetrix社高密度SNPsアレイを適用しその差を比較した。現在までに、(1)従来のSTR多型により雄核発生1精子受精と判定していた全奇胎が、全ゲノムレベルで1精子受精であることが明らかになった。(2)胞状奇胎例とコントロールゲノムデータ(270HapMapReference)の比較により、胞状奇胎で特異的に遺伝子増幅が見られる領域を認めた。(3)続発症例と経過順調型との比較で、続発症例で特異的に遺伝式増幅が見られる領域が全ゲノム中に2箇所あった。現在、(2)と(3)の解析で見つかった特異的遺伝子増幅領域をリアルタイムPCR法で確認している。
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Hum Reprod 25
ページ: 1182-1191
58
ページ: 2035-2041
http://www.m.chiba-u.ac.jp/class/gyne/index.html