研究概要 |
子宮頸部癌の発癌過程において、HPV16 E6, E7導入により、不死化細胞が得られるなど、現在ではHPV感染が異形成の原因であることは明らかだが、これだけでは癌化せず、E6/E7蛋白質による他のターゲットの可能性や、HPV以外の関与が示唆されている。近年DNAのメチル化が癌抑制遺伝子不活化機構に重要とされ、種々のがんで癌抑制遺伝子のプロモーター領域のメチル化による不活化が発癌に関与しているとの報告が多い。 本年度は2つの子宮頸部腺癌培養細胞株Hela株、OMC-4株に対し、脱メチル化剤(5-aza-2'-deoxycytidine)を投与してRPMI1640下で培養、その後RNAを回収した。脱メチル化剤非投与下で培養した細胞株から抽出したRNAと3万個の遺伝子を搭載したマイクロアレイを行い発現プロファイルを比較検討した。脱メチル化剤によって発現の上昇する遺伝子を同定する。また、すでに報告のあるいくつかのメチル化部位を臨床検体を用いて検討した。 解析候補遺伝子の解析では、うちプロモーター領域にCpGアイランドを持つ遺伝子はがん抑制遺伝子の可能性が、発現の減弱している遺伝子はメチル化により発現が亢進しているため、がん遺伝子の可能性も考えられるが、研究期間内には同定できなかった。培養細胞株ではRASSF1Aのメチル化の亢進が認められたが、今後臨床検体を用いてさらに検討する必要があると考えられる。
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