研究概要 |
説明と同意の下に得られた正常ヒトケラチノサイト(Human foreskin keratinocyte、HFK)に高リスク型のHuman papilloma virus (HPV)31ゲノムをEpisomalに導入した細胞(HPV31 cell)、及びOncoproteinであるE6 and/or E7 をIntegration させた細胞(HPV31E6, HPV31E7,HPV31E6/7 cells)を樹立した。これらの細胞を低酸素下に培養し、種々の実験を行った。 HPV31 cells でのHypoxia inducible factor-1(HIF-1)の発現はHFKに比べ著明に上昇していた。HIF-1応答プロモーターを用いたLuciferase assayではHPV31 cellsはHFKに比べ有意にHIF-1による転写活性が亢進していた。HIF-1のターゲット遺伝子を検索した結果、VEGFのmRNAレベルでの発現上昇が認められた。HPV31E6、HPV31E7、HPV31E6/7cellsの低酸素培養では、すべての細胞においてHIF-1の発現上昇が認められた。HPVはE6によるp53不活化と、E7のHIF-1への結合と介してHIF-1活性を上昇させることが確認された。 HPV感染細胞におけるHPVのHIF-1活性化への関与を初めて報告した。本研究は低酸素下での子宮頸癌進展における分子機構の解明や分子標的治療薬の開発に寄与するものと考えられる。
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