今年度、p72蛋白の発現を、免疫染色法を用いて解析する実験を引き続いて進めた。子宮頸癌及び正常子宮頸部に加え、前癌病変である子宮頸部異形成においても検討を加えたところ。異形成の段階においてもp72に発現低下がみられ、その傾向は病変の程度、つまり癌への進行とも相関があることが示唆された。この結果はp72が異形成の段階での癌への進行を予測する因子となり得ることを示唆し、異形成での癌への進行とp72発現の相関の解析を進めている。また、関連遺伝子であるp68、β-カテニンについて免疫染色法を用いて同一組織内での比較を行ったが、癌においても前癌病変においても発現の有意な相関は見られず、これら関連遺伝子と発癌の関係や、p72が頸癌発生に及ぼす経路については未だ判明していない。 これらと並行してp72を強制発現する株を用いた実験では、非強制発現株との2次元電気泳動を用いた蛋白発現の比較を行い、p72の発現と関連して変化する約20個の蛋白を検出した。さらにこれらの蛋白より、癌の進展に直接関与する蛋白の同定を進めている。 以上の実験についての発表については未発表であるが、解析が終了次第順次、22年度中の産婦人科学会及び雑誌上で報告できる予定である。
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