今年度の研究成果としては症例数の蓄積が主で、多嚢胞性卵巣症候群のサンプル数を約150例まで収集することができた。健常コントロールについては、約80例でサンプル採取を行うごとができた。各サンプルについて、IRS-1、PC-1、アディポネクチン、レジスチン遺伝子型の決定、空腹時インスリン値と血糖値測定からHOMA-IR値の決定、総テストステロン、遊離テストステロン、アンドロステンジオン、DHEASといった各種アンドロゲン値、などにつき測定を行った。健常コントロールについては、症例数の蓄積が思うようにはかどらないこともあり、同意書を取得済みの妊婦よりコントロール検体の提供をいただき、同様に上記遺伝子型の決定を行った。多嚢胞性卵巣症候群のグループと妊婦コントロールグループとの間で遺伝子型を比較したところ、レジスチンに関して有意差が認められ、さらにレジスチンのホモ変異型保有者では野生型保有者に比較して空腹時インスリン値、HOMA-IR値が有意に高く、またアディポネクチン値が有意に低いことが判明した。インスリン抵抗性との関連が示唆されている。 本研究が査読のある英文誌に掲載されたことは、学術的にある程度の評価と注目とを受けたことと判断する。
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