研究概要 |
平成21年度の研究実績は、以下の2項目である。(1)慢性炎症関連因子の解析:HPV検体採取と同時期に採取した組織検体(病変なし:10例、CIN1:5例、CIN2:16例、CIN3:39例、扁平上皮癌(SCC):25例、腺癌 (Ac):8例)に対し、NF-kB、iNOs、COX-2、IL-6、IL-8の免疫染色を行った。発現の局在、発現量をスコア化しMann-Whitney検定で解析した。NF-kB・iNOSにおいて病変のないものと子宮頚部病変を有するものとの間に、COX2においてCIN1+2とCIN3、CIN1+2とSCC、iNOSにおいてCIN1+2とSCC、SCCとACの間にそれぞれ有意差をみとめた。(2)ゲノム不安定性MSI・LOHの解析:HPV検体採取と同時期に採取した組織検体(CIN1:5例、CIN2:15例、CIN3:22例、SCC:27例、AC:9例)から、laser captured microdissection(LCM)で採取した各病変部の上皮から抽出したDNAを使用しMicrosatellite marker(1):17番染色体マーカー:D17S795,TP53,D17S786,D17S579(2):NCI推奨マーカー:BAT25,BAT26,D2S123,D5S346,D17S250(3):Tumor suppressor geneマーカー:D31S1300(FHIT),D7S486(ST-T),D9S161(p16INK4A,D11S904(H-Ras),D13S268(Rb)を使用し検出、解析した。LOHはSCC:4例、CIN3:6例、AC:2例で検出された。MSIはそれぞれ4例、5例、2例に検出された。尚、CIN1、CIN2からはLOH、MSIのいずれも検出されなかった。現在、再検も含めさらに解析をすすめている。
|