H1FOOは卵子の形成、卵子のエピジェネシスに重要な役割を果たすことが推測される。したがって卵子形成、初期発生におけるH1FOOの必要性を明らかにするためにノックアウトマウスを作製し、その解析を行うことを目的とした。 (1)卵子特異的リンカーヒストンH1FOOの機能を探るためにノックアウトマウスを作製した Genotypingおよび卵子に対する免疫染色によりH1foo欠損マウスであることを確認した。 (2)ノックアウトマウスにおける卵子形成過程についてGV期卵子を採取し、in vitroでの卵子成熟を形態的に観察したところwild typeとの差は見られなかった。 (3)また新生仔期卵巣を摘出し、卵子形成を組織学的に観察したがwild typeとの差は見られなかった。(4)ノックアウトマウスからの産仔数、特に長期飼育マウスにおける産仔数を調査したが産仔数の著明な減少は見られなかった。 (5)単為発生への影響を考え長期飼育ノックアウトマウス卵巣を摘出し奇形腫形成の有無をがないか調べたが奇形腫を形成したものはなかった。 卵子特異的リンカーヒストンH1FOOの欠損はノックアウトマウスの解析から卵子形成過程および生殖能力に影響を与えなかった。これにはH1FOOの機能を代償するための何らかの機構が存在すると考えられた。
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