1)BALB/cマウスに対してT細胞依存性抗原である卵白アルブミン(OVA)と経鼻ワクチンのアジュバントとして確立されているコレラトキシン(CT)を経鼻投与しOVAに特異的な免疫応答を得ることができた。次にOVAと樹状細胞走化作用を有するMIP-3α/CCL20をBALB/cマウスに経鼻投与を行った。免疫組織学的検討で、MIP-3α/CCL20を4μg投与した群においてNALTに樹状細胞が著明に誘導された。しかし、採取した血清および鼻腔洗浄液を用いたELISAの検討で、MIP-3α/CCL20を4μg投与した群でIgGおよびIgAのOVA特異的免疫応答が誘導されなかった。このことから、MIP-3α/CCL20は樹状細胞を免疫誘導組織へ誘導することはできるが経鼻ワクチンにおけるアジュバント効果までは有さないことが示唆された。 2)そのためOVAとtoll-like receptor 9のリガンドであるCpGとMIP-3α/CCL20をマウスに経鼻投与した。CpGはアジュバント効果があることが確立されている。するとこの実験では、同様に血清および鼻腔洗浄液を用いたELISAの検討でIgGおよびIgAのOVA特異的免疫応答が誘導された。またELISPOTでは脾臓組織ではOVA特異的免疫応答が誘導できたが鼻粘膜組織では誘導できなかった。いずれにせよOVAとCpGのみの群とOVAとCpGにMIP-3α/CCL20を加えた群で有意な差がなく、MIP-3α/CCL20によってCpGで得られた経鼻ワクチンの効果を増幅させることができなかった。 次年度はMIP-3α/CCL20の投与量を4μgよりさらに増量して検討する必要がある。
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