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2008 年度 実績報告書

アレルギー性鼻炎における樹状細胞活性化因子TSLPの役割

研究課題

研究課題/領域番号 20791207
研究機関札幌医科大学

研究代表者

亀倉 隆太  札幌医科大学, 医学部, 研究員 (70404697)

キーワードアレルギー / 病理学 / タイト結合 / 樹状細胞 / TSLP / 鼻粘膜
研究概要

我々はこれまで、アレルギー性鼻炎(AR)患者のヒト鼻粘膜上皮において、樹状細胞に鼻粘膜上皮と同様のタイト結合蛋白が発現し、鼻粘膜上皮のバリア機能に影響を及ぼさずに樹状突起を上皮細胞間に延ばし鼻腔内の抗原を受け取る特殊な機構があることを世界に先駆けて報告した。しかし、その制御機構については不明であった。そこで今回我々は、樹状細胞の機能調節に関与が知られ、アレルギー疾患の発症の起点になると考えられているIL-7様サイトカインのThymic stromal lymphopoietin(TSLP)に焦点を当て検討を行い、以下の結果を得た。
ARの鼻粘膜では、正常鼻粘膜と比較して、TSLPの発現がmRNAおよび蛋白レベルで亢進していた。また、TSLP高発現群では低発現群と比較して上皮内にLCAおよびCD11c陽性細胞が多数認められた。次に炎症性サイトカインのIL-1β/TNF-αおよびTLR2リガンドのP_3CSK_4処置によりコントロール群と比較して優位に鼻粘膜上皮細胞からTSLPの産生が誘導された。TSLP処理した培養鼻粘膜上皮細胞では、claudin-1、4、7、occludinの発現の増加に加えて、バリア機能の増加が認められた。さらにマウスの樹状細胞株のXS-52細胞ではTSLP処置により、claudin-7蛋白の発現が増加した。AR患者のclaudin-7陽性の鼻粘膜上皮内において、CD11c陽性樹状細胞もclaudin-7を発現していることが確かめられた。
この研究成果は、ARにおけるTSLPの役割および鼻粘膜における上皮と樹状細胞のタイト結合の発現調節機構が分かるだけでなく、上皮バリア機能および樹状細胞の活性化を調節することにより抗原侵入を防御する予防および治療薬の効果を増加させるdrug dellvery systemにつながると考えられる。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Expression of thymic stromal lymphopoietin (TSLP) in allergic rhinitis : Induction of tight junction proteins in nasal epithelial cells and dendritic cells by epithelial- derived TSLP2008

    • 著者名/発表者名
      Kamekura R, et.al.
    • 雑誌名

      Inflammation and Regeneration 28(3)

      ページ: 160-165

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Expression of tight junction proteins in epithelium including Ck20-posi tive M-like cells of human adenoids in vivo and in vitro2008

    • 著者名/発表者名
      Takano K, et.al.
    • 雑誌名

      J Mol Histol 39(3)

      ページ: 265-273

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Protein kinase C enhances tight junction barrier function of human nasal epithelial cells in primary culture by transcriptional regulation2008

    • 著者名/発表者名
      Koizumi J, et.al.
    • 雑誌名

      Mol Pharmacol 74(2)

      ページ: 432-442

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 粘膜のバリアと抗原サンプリングー鼻粘膜を介した新しい治療戦略にむけて2008

    • 著者名/発表者名
      郷充他
    • 雑誌名

      耳鼻咽喉科展望 51 : 補1

      ページ: 32-38

    • 査読あり
  • [学会発表] ヒト鼻粘膜上皮細胞と樹状細胞のタイト結合蛋白はthymic stromal lymphopoietinによって誘導される2009

    • 著者名/発表者名
      亀倉隆太
    • 学会等名
      第21回気道病態研究会
    • 発表場所
      東京都
    • 年月日
      2009-02-07
  • [学会発表] アレルギー性鼻炎におけるThymic stromal lymphopoietin (TSLP)の役割2008

    • 著者名/発表者名
      亀倉隆太
    • 学会等名
      第97回日本病理学会総会
    • 発表場所
      金沢市
    • 年月日
      2008-05-15

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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