感染症の難治化の原因のひとつとして細菌がつくるバイオフィルムが抗菌薬の効果を減弱することが上げられる。小児において最も高頻度におこる感染症のひとつである急性中耳炎についても薬剤耐性菌による難治化が問題となっている。その原因の一つとして細菌の形成するバイオフィルムが抗菌薬の効果を減弱させているというバイオフィルムの検出はO'tooleらの現法に従いクリスタルバイオレット染色によりした。急性中耳炎患児より分離された急性中耳炎の三大起炎菌である肺炎球菌、インフルエシザ菌(nontable Haemohilus influenza : NTHi)、モラキセラ・カタラーリス菌の臨床分離株を用いバイオフィルム形成能についてを行った。 両側中耳腔および鼻咽腔から同一の菌が検出された例ではその菌のバイオフィルム形成能も同程度であった。アモキシシリン(AMPC)に感受性のある菌株と耐性のある菌株を比較すると、耐性株のほうが有意にバイオフィルム形成能が高かった。 このことから細菌が形成するバイオフイルムが最近の抗菌薬への耐性化、急性中耳炎の難治化の大きな原因の一つであることが示唆される。 現在は肺炎球菌につきバイオフィルム形成に対してどの抗菌薬が治療効果があるかにつき検討を行っている。
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