当院で手術に至った好酸球性副鼻腔炎患者2例、非好酸球性副鼻腔炎2例を対象に、十分な説明を行い同意を得たあとに検討を行った。対象から鼻ポリープを採取しパラフィン包埋してスライド上に連続切片を作成し、抗CD4抗体と抗GATA-3抗体、抗t-bet抗体、抗Foxp3抗体、抗RORγt抗体を反応させて、二重染色にてCD4陽性細胞中の各サブセットの発現細胞数を測定した。好酸球性副鼻腔炎患者は非好酸球性副鼻腔炎と比較してGATA-3陽性のCD4陽性細胞とt-bet陽性のCD4陽性細胞を多く認めた。この結果から好酸球性副鼻腔炎の局所ではTh1、Th2型免疫応答がともに亢進している可能性が示唆された。また、Foxp3陽性CD4陽性細胞と抗RORγt陽性T細胞の発現は好酸球性副鼻腔炎群、非好酸球性副鼻腔炎群ともに同定することが出来なかった。もともとCD4陽性細胞におけるIL-17陽性細胞、Foxp3陽性細胞の占める割合は少ないので、今後抗体の反応時間を延ばしてTreg、Th17陽性Th細胞を同定するとともに、全体的に対象症例を増やして検討し、有意差検定を行っていく予定である。また、対象から血液20mlを採取して、比重遠心分離法にて末梢血単核球を分離してFlow cytometoryにてTh1、Th2、Treg、Th17陽性T細胞の割合を測定した。好酸球性副鼻腔炎患者は非好酸球性副鼻腔炎と比較してIL-4陽性T細胞(Th2)の発現が増強している傾向があった。IFN-γ陽性T細胞(Th1)は非好酸球性副鼻腔炎患者において発現が増強している傾向があった。Foxp3陽性T細胞(Treg)の発現は両群間に大きな差は無く、IL-17は好酸球性副鼻腔炎群1例で高発現していた。今後全体的に対象を増やして有意差検定を行っていく予定である。
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