研究概要 |
慢性副鼻腔炎において真菌は重要な役割を果たしていると考えられてりるがそのメカニズムは不明のままである。そこで、まず我々は真菌と線維芽細胞との関連を調べた。線維芽細胞をAlternariaで刺激を加えると、濃度、時間依存的にIL-6、IL-8が産生されることが判明した。これらの反応は56,100℃の熱刺激でブロックされるため、プロテアーゼの関与している事が示唆された。また、プロテアーゼを抑制する因子を用いて実験すると、それは、Serine proteaseではなく、Aspartate proteaseが関与していることが分かった。この反応はp38 MAP kinaseが関与していると考える。この事から、副鼻腔炎の重要なトリガー因子として真菌が関与している可能性が判明した。特に、真菌が直接、自然免疫の担い手の可能性のある線維芽細胞を直接に刺激し、サイトカインを産生することが分かった。 また、昨今の言われる難治性の副鼻腔炎に共通して事として副鼻腔粘膜、ポリープ内に多数の好酸球が浸潤している事実がある。真菌と好酸球との関連もいまだ不明である。今後は、線維芽細胞を用いてさらに好酸球を刺激、誘導するようなサイトカイン、たとえばエオタキシンやRANTESについて検討し、樹状細胞を用いて自然免疫についても検討を加える予定である。 その結果を踏まえ、動物実験を行いマウスbone marrowより樹状細胞を分離し、真菌と抗原提示細胞との関連を調べたいと考える。
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