正常扁桃や脾臓の細胞から抽出したRNAよりnested RT-PCRで相補のIg/BCL6キメラ転写産物が検出できたことから正常扁桃や脾臓にIg/BCL6転座B細胞が存在することが示された。また、Ig/BCL6キメラ転写産物のIμ-BCL6E2の検出率は、これに相補的なキメラ転写産物であるBCL6E1-Cμ1の検出率の9倍の検出率であった。つまりIg/BCL6転座B細胞の存在をnested RT-PCRで検出するにはIμ-BCL6E2を測定するのがよいと考えられた。またIg/BCL6転座B細胞は、ナイーヴB細胞ではなく、胚中心のB細胞に存在することが示された。 平成20年から平成21年の間に頸部リンパ節生検を施行した悪性リンパ腫症例36例を対象とした。性別は男性12例、女性24例であった。年齢は30才から90才(平均64.8才)であった。穿刺吸引細胞診で悪性リンパ腫疑いと診断された症例に対し切開生検で得られたリンパ節組織から取り出した細胞を材料として用いて、Ig/BCL6キメラ転写産物を定量的に測定した。組織型は、リンパ節炎が3例、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫が30例、濾胞リンパ腫が3例であった。リンパ節炎では10/10^6~10^2/10^6個のIg/BCL6転座B細胞が検出できた。びまん性大細胞型B細胞リンパ腫では1.5×10^4/10^6~10^6/10^6個のIg/BCL6転座B細胞が検出できた。濾胞リンパ腫がでは3例と症例数波少ないが1.2×10^3/10^6~10^4/10^6個Ig/BCL6転座B細胞が検出できた。Ig/BCL6転座B細胞が検出の検出量は、炎症性<濾胞リンパ腫<びまん性大細胞型B細胞リンパ腫という傾向が見られ、悪性度が高いほどIg/BCL6転座B細胞が検出の検出量が多いことが推察された。
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